星団日記

中央市議会議員なとり義高です。

多胎児(ふたご・みつご)支援について 2019.⒏16 厚生常任委員会

6月議会に「妊婦一般健康診査受信票の多胎児(ふたご・みつご)の交付数拡大について」の陳情があり、委員会では陳情者ご本人から直接意見を聞く機会を作りました。陳情の趣旨は、「現在、妊婦1名につき14枚交付されている、妊婦一般健康診査受診票を、多胎児の場合、交付数を20枚以上に増やすこと」です。小学4年生と2歳の双子を抱えるママが今回の陳情者です。ご自身の産前産後を通しての経験から、多胎児育児の過酷な現状と支援のあり方についてお話しいただきました。

2016年度、全国の多胎児数は9998件(出生数の1%)で山梨県では69組(出生数の1.18%)となっています。中央市は1組程度。20年前に比べて多胎児出生の割合は2倍に増えていますが支援は不足しています。多胎児育児家庭の過酷な状況は次の通りです。

産前:妊婦健診の標準的回数が単胎児14回に比べて19回以上、切迫早産、流産、貧血などのハイリスクとなるため出産を控えて妊娠30週頃から管理入院(県立中央病院)する。エコー検査など含めて経済的にも身体的にも負担が多い。

出産時:多胎児の場合2~3ヶ月入院、早産児や低出生体重児などで子どもは出産後NICUに入院。(出生児の7割が低出生体重児

産後:出産で体力が回復しないまま、小さく生まれた子ども達の育児に眠れる時間がない程の忙しさと過労で外出もできず、地域から孤立するなど単胎児に比べ2.5~4倍の虐待リスクがある。

特に必要な支援は、妊娠期に正確な情報が受けにくいが、妊娠から産後1年までの必要な情報やアドバイスが詰まった「ふたご手帖」が役に立つ。配布している自治体もある。心身の疲れからひきこもりがちになり助けを求めにくい。支援者が出向くホームスタート(訪問型の支援)は不可欠とまとめられた。

政府は、2020年までにフィンランドの公的施設「ネウボラ」をモデルに「子育て世代包括支援センター」を全市町村に設置を目指しています。ネウボラ(助言の場)は、母親の妊娠期から子どもの小学校入学まで子育てのあらゆる相談にワンストップで応じ、同じ保育師がひとつの家族を継続してサポートし必要な支援に繋ぐ仕組みです。フィンランドと日本の支援はどこが違うのでしょう。国には、25年前から多胎児支援が制度としてあるのに何も活かされていません。

自治体の先進地ではすでに訪問型の支援が進んでいます。大津市では誕生から3歳まで家事・育児支援・健診・外出などを無料で120時間サポートしています。川越市では第三子および多胎児産前産後ヘルパー派遣事業があります。

多胎児に限らず子育てに困難さを抱えるママをどうやって見つけ出し救いあげ、どのようなお手伝いができるのか、本当に必要な子育て支援のあり方を当事者とともに考える機会となりました。陳情者の背景にある問題は、すべての人の「こまりごと」でもあるのです。問題を浮き彫りにし、委員会全員で共有し議会を経て市民のみなさんへより良い形にしてかえしていきたいと思います。