星団日記

中央市議会議員なとり義高です。

地域で看取る

 社会保障制度改革国民会議は、2013年8月「病院完結型から地域全体で治し、支える地域完結型へ」と提言しました。 これを受け、厚生労働省は医療費抑制に向けて病床数削減を図り、2038年に病院以外の在宅死・看取りを40%に引き上げる方針を決め、医療・介護・生活支援を地域で一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築を進めています。このシステムは、保険者である市町村や県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要とされています。住み慣れた地域で最期までその人らしく終焉を迎えられることは多くの人の望むところと思います。

 

 しかし、2025年には、団塊世代がすべて75歳以上となることから、医療や介護の需要増大が見込まれ、安心して最期を迎えられる場所がない「看取り難民」の問題が深刻化します。全国の病床数が減少をたどる中、今でさえ病院での看取りが8割という状況なのです。そこで、医療が一部改正され、山梨県でも地域医療構想を策定し、構想区域における2025年の病床の機能区分ごとの必要病床数と在宅医療等の必要量(医療需要)を算出し、25年のあるべき医療体制の検討が始まっています。

 

中央市版地域包括ケアシステムの実現に向けて、本市の状況

山梨県地域医療構想の概要と二次医療圏(中北・中央市)の現状と将来推計

山梨県が推進する24時間対応型訪問介護・看護の現状

 

 高齢社会により病床の機能分化・強化により入院期間の短縮化や慢性期患者の受け皿として在宅での医療・看護・介護に頼らなければならない状況が進んでいます。老々世帯や独居世帯の増加により家での生活が難しいのに、入院を継続できず、受け入れてくれる病院も施設もない、「看取り難民」の増加が危惧されています。 幸い中央市では、1992年発足した有床診療所の医療活動(疼痛コントロールと在宅医療)が在宅緩和ケアにつながり多くの方々を在宅で看取ってきた経緯があります。まさしくそれは在宅と病院・介護施設有機的に結びつけた先進的な医療の実践があったからこそ実現できたのです。このような医療活動を推進する上での中央市の支援策をお伺いいたします。

 

●看取り難民問題を解決するために

●在宅医療、病院、介護施設有機的に市が連携させていく為に有効な施策とは

 

 一方で看取りまでを受け入れてくれる特別養護老人ホーム(特養)が年々増加しているにもかかわらず、入所を申し込んでも入れない待機者数が減らない現実が県内でも浮かび上がっています。さらに介護の担い手である介護士やボランティアなどマンパワーは大幅に不足しています。(2025年介護職100万人増強!)人材確保は「地域で看取る」には大きな障壁となっています。入院医療と在宅医療が共にひっ迫する中、広がる溝を埋めるのが介護の役割ですが、さまざまにある介護施設はターミナル(終末期)ケア体制がなかったため看取りの場所として十分に機能していません。すでに制度上は医療と介護の関係は連携から一体化(多職種協働)へと進みつつありますが、言葉だけが先行しているのが実情です。医師・看護師・理学療法士作業療法士・管理栄養士・介護士・ケアマネージャー・医療ソーシャルワーカー・地域の民生委員などの連携は重要ですが協働を構築するには難しさを感じます。しかしながら、中央市が先に立ってコーチングしていかなければ、介護離職者数毎年10万人(総務省平成24年就業構造基本調査」より)という数字は減りはしないでしょう。

 

●人材確保はどうする?

●多職種協働の状況と必要性について

 

『病院は、病んだ人がまた元気になるために一時いくところです。病院は生活をするところではありません。 がんを患い治療する見込みの無くなった人や、老齢と共に体力が落ちてきた人に必要なのは、病院での「治療」ではなく、自宅での「生活」だと思います。その「生活」を支える医療が在宅医療です。』

 

 この言葉は、父の介護と看護、看取る場を提供してくださった在宅医の診療所院長から教えてもらいました。私は、大切な家族をこの生活の場で看取ることができたことに深く感謝しています。自らの生をどう全うするか「死」をタブーとせず死の哲学を学び、この地域が終の棲家にふさわしい街になることを心から願い質問をいたします。

 

●死の準備教育と看取りケア、死生観の啓蒙について

 

2017年6月 一般質問より掲載