星団日記

中央市議会議員なとり義高です。

9月議会質問 「種苗法改正で中央市の農業はどうなる?」

種苗法改正で中央市の農業はどうなる

「種とりできなくなるってホント?!」

 本年3月3日、コロナ禍の騒動の中で種苗法改正が閣議決定されました。さすがに批判も多く今国会での審議は見送られ次期国会に持ち越されました。政府はこれまで農家が登録品種を自家採種、増殖することを認めてきましたが、改定案では、次期作のための種とりや、接ぎ木、挿し木、ランナー、株分けなどの増殖を禁止するとしました。このことは、日本の農業者の9割を占める小規模・家族経営の農家の負担を重くし、離農をまねき消費者にとっても農作物の高騰を心配させます。

 

小項目1.種苗法改正

質問1 種子法廃止による財源について

20184月、種子法廃止が施行されました。附帯決議には「優良な種の安価な供給には、従来通りの都道府県による体制が維持できるように措置すべき」とあります。2018年度から2020年度の国から県への財源措置について特定財源から一般財源に変わっていますが、種子法廃止以前との比較についてお聞きします。

 

質問2 優良品種の海外流失問題

ぶどうの「シャインマスカット」やいちごの「紅ほっぺ」などの海外流出が問題視され、種苗法改正の理由として「日本で育種開発された優良品種の海外流出を防ぐため」という一面が強調されています。流出を防ぐためには、国内農業者の利用制限では解決しないと思います。「海外において品種登録を行うことが唯一の対策」であり、育成者権は国ごとに取得する必要があります。つまり、農家の種とりの権利剥奪を正当化することでは流出を防ぐことはできないと考えますがいかがでしょうか。

 

質問3 登録品種と一般品種(在来種、品種登録されたことがない品種、登録期間が切れた品種)

たとえば中央市の代表的な農産物であるトマトの桃太郎は、品種登録されたことがない品種として一般品種にあたります。農林水産省は、登録品種は10%だけで残りは一般品種で今まで通り自由に種とりできるとしています。しかしながら現在登録されていない種子を基にして企業が+αの「良さ」を育成し新品種が認められれば、元の在来種が駆逐され、種を買わざるを得ない状況が広がっていくと東京大学教授の鈴木宣弘氏が懸念しています。中央市の他の農産物についても種の値上がりによる生産コストの上昇が心配です。同時にこの種苗法改定の周知は中央市の各農家へなされているのか伺います。

 

小項目2.食料の安全保障

質問1 グローバル種子企業による種子の寡占化

巨大種子企業の種の支配、利益独占体制はこの種苗法改正で完成すると揶揄されています。「種子法廃止」で米・麦・大豆の公的種子事業をやめさせ、「農業競争力強化支援法」で国と県がつくった米などの穀物種子の情報を企業に譲渡させ、とどめは「種苗法改正」で農家の採種は禁止する。今後農家はどんな種子でも買わなければならなくなります。品種登録してなければ、代々自分の農地で自家採種した種子で栽培した作物であっても自分のものではないとされるのです。しかも、その農家は特許権侵害で告訴され、損害賠償を求められることにもなりかねません。グローバル種子企業の世界戦略は種子を握ることです。日本でもそれは確実に実行されやすくなりました。中央市の農業政策としてこの点についてお聞きします。

 

質問2 コロナや異常気象での食料の輸出制限は有機農業で解決できる

コロナ感染症パンデミックによって、農産物や食品の輸出規制が実施されました。輸入に頼る日本の食料不足はより深刻化し、人々の大きな心配事として食料の安定供給の重要性が繰り返し訴えられています。また、世界では異常気象も重なり27カ国が食料危機に遭遇しています。農業生産現場の働き手不足など農業へのテコ入れは喫緊の課題ですが一方、欧米諸国では、有機食品市場がものすごい勢いで拡大しています。日本の有機市場規模は1850億円(2017年)米国では年間約5兆5000億円で、一人当たりの年間消費額は、米国やドイツ、フランスの1割にも満たない状況です。有機市場の拡大は世界の潮流であり消費者へのメリットだけでなく、人口減少や農家の高齢化、輸入農産物の流入などの苦境にある農業を再生させ、食料の安全保障に大いに役立つと考えます。市の見解をお聞きします。また、山梨県の食料自給率19%と国内で低い状況ですが米の自給率について合わせてお聞きします。

 

質問3 伝統的在来種を守るシステム「ジーンバンク」について

私の一般質問、種子法廃止でどうなる(20183月)の答弁で「中央市の教育ファームなどの伝統的農業を普及する活動が地域で醸成されれば、さまざまな遺伝資源を収集・保存する国のジーンバンク的な活動を地域版ジーンバンクとして実施することも可能になり、競争力を持った農業の構築ができるのではないかと考えます。」と市長にお答えいただきました。また、伝統的な在来種として藤巻地区のえびイモが農産物直売所た・からで販売していると教えていただきました。あれから2年半経ちますが、ぜひこのような視点で中央市版「ジーンバンク」を推進するための調査をしていただきたいと思います。種苗法改定案を中央市ではどのような施策で対処していくのかお聞きします。

 

そもそも種子は、企業が「無」から創ったものではありません。農家が種とりによって地域に根ざした品種を代々受け継いできたものです。企業がその種子を使って開発し権利ばかりを主張するのは、人と自然の遥かな営みを奪う行為なのではないでしょうか。農民が営々と種とりしてきた自然権尊い基本的権利そのものです。