星団日記

中央市議会議員なとり義高です。

1億2千万円の損失(若者の無業による経済損失) 「ニートと子どもの貧困による孤立を防ぐために」

「生きづらさ」の象徴として注目されたニートや引きこもり状態に置かれた若者たちは、周囲からとり残され自分自身でどうすればいいかわからない不安や孤独、言葉にできない息苦しさという困難を経験しています。学校時代の負の体験、劣悪な労働環境、家庭の経済的貧困、当事者の障害や病気・けがなどが複雑にからんだ場合も少なくない状況です。彼ら彼女らは社会から排除され孤立し自尊感情が深く傷つけられているうえ更に、「甘え」や「自己責任」で片づけられています。雇用の非正規化と労働市場の不安定化こそが若者の自立をはばみ、この誤解を生み出しているのです。

 

 私は、2013年12月議会に「貧困の連鎖を断ち切り子どもの権利を守る子どもサポート」について質問しました。その中で④若者に対するサポートとして、スネップ(孤立無業者)について定義、概念などにふれ自立に向けた政策・就労支援の必要性について質問しました。

 

 25歳の若者が生活保護を受けると65歳までに約7000万円の費用負担がかかりますが、この若者が就職して65歳まで納税している場合得られる納税額は約5000万円です。生涯のコストギャップは、1億2千万円になると試算されています。(厚生労働省ナショナルミニマム研究会)国は、税金を7000万円使ったうえに、5000万円の税収が得られない訳です。つまり、若年無業者の放置は、たった一人の若者であっても1億2千万円の損失になります。一方、2010年には「子ども・若者育成支援推進法」が制定されました。実際に若者支援に従事する現場の実践者も交えて内容が検討され、子どもの権利条約の精神に基づいた普遍的な理念法としての性格も有しています。この法律の施行に伴い、国の大綱として「子ども・若者ビジョン」が作成され、自治体ごとの子ども・若者計画や地域協議会、「子ども・若者相談窓口」が設置されるなど、各地で支援体制が広がりつつありますが、その現状について伺います。

 

①県・市の若者のひきこもり・ニートの状況

 (ニート:15歳から34歳の非労働者、働こうとしない独身者)

②県・市の若者支援の状況

 

 東京大学社会科学研究所 玄田有史(げんたゆうじ)教授は、普段仕事をしていない、ずっとひとりでいるか一緒にいる人が家族しかいない、結婚していない20歳から59歳の孤立無業者をスネップ(SNEP)と定義しています。(162万人)

 

 この若者支援に大きな役割を果たしている、立川市にある認定NPO法人育て上げネットにフォーラム中央・公明党会派合同で視察研修に行きました。 育て上げネットは全国5か所の地域若者サポートステーション(サポステ)を運営していますが、「若者支援は社会投資」として若者支援、保護者支援、学習支援、学校教育支援、自主事業などの活動を行っています。若者の16人に1人は無業。若年無業者(15歳から39歳)約200万人の若者の「働く」と「働き続ける」を応援し大きな実績をあげています。特に、若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」の「SEIYUパック」はユニークです。ジョブトレに通所しながらトレーニングを経て西友店舗で実際にインターンとして働き、自信をつけます。条件が合えば、交通費を含むプログラム利用費が無料になります。同パック利用者は28人、うち21人が就労を果たしました。(2016年2月現在)

 

③スネップ(孤立無業者)の社会的損失

④子ども・若者の自立は社会的投資  

 

 若者の無業解消の取り組みは、 発見→誘導→支援→出口→定着と息の長い関わりが必要です。そして、苦しい子ども・若者に寄り添える組織や人材が不可欠です。地域の役割として行政・NPOなど様々な機関が関わる支援組織が一つでも多くなることが望まれます。

 

⑤子どものライフステージにあった長期に寄り添った支援体制の必要性について

⑥教育・福祉・雇用など様々な機関連携について  

 

 子ども・若者パーソナルサポートのまちを目指し、子ども・若者支援を中央市の政策に位置付けることは、若者の移住定住につながり市を豊かにすると考えます。 中央市が子ども・若者の支援の街になり、苦しむ彼ら彼女らが働くことの意味を考え直し、「人との関わりが持てる」「働くことでつながる」「生きやすい」地域になることを切に願います。私たちは、すべての若者が社会的所属を獲得し、自分の居場所をみいだし成長し、自立し未来に向かって挑戦することを応援し支えていかねばなりません。

 

2017年9月 一般質問より記載